プルちゃん通信
2002/3.4

発行人・谷 佳憲
自分の歯みがきを身につけよう
 春になりました。梅一輪一輪ほどの暖かさ、桃の節句のひな祭り、そして桜の下の花見とゆったりと春の日が過ぎていきます。一人ひとりがそれぞれに楽しみを見つけようとしていた、ちょっと昔の日々です。
 ところが、世の移り変わりが早くなったこのごろ、なかなか春を楽しむということができません。5・6年前のサスペンスを再放送で見ていると、公衆電話を探して走り回る場面が出てきました。「おいおい携帯はないの」と思わず言ってしまいましたが、考えてみるとそのころは一般的ではなかったのかもしれません。その携帯電話の普及などがあり、生活情報が氾濫し、自分で考える前に春の様子が頭に入ってくるというふうで、実際のところ花見なども楽しんでいるのか楽しまされているのか分からなくなってきます。

 歯科の世界も同じことがあります。「磨き残しがないかチェックしてみましょう」という電動歯ブラシのコマーシャルがあります。「きちんと磨いたはずなのですが」「ではチェックしてみましょう」「ああっ、こんなに」「ではこれを使ってください」「本当、きれいに落ちますね」というものです。
 もう一方は、歯ブラシのコマーシャル。「歯と歯の隙間、歯と歯ぐきの隙間まできれいに歯垢を落とします」。はてさてどうしたらいいのでしょう。歯の隅々まで磨ける歯ブラシと電動歯ブラシとどっちを使えばいいのやら。
 今の電動歯ブラシは確かに手で磨くより歯垢を落とす効果があるといわれています。しかし、個人個人口の中の様子も異なっているのですから、歯ブラシで磨くほど応用がきかないともいわれています。つまり、その人にあった歯みがき方法を会得しなければいけないということなのです。いろんな情報が流されても、最後は自分に合ったものだけを選ばなければならないということでしょう。啓蟄(けいちつ)に、むし歯がはい出ることのないように、歯みがきの練習をしませんか。そして、春を楽しみましょう。

ここが知りたい??? 〜ムシ歯は自然に治ることもあるの?〜
 初期のムシ歯は、歯のエナメル質表面が白く濁ることなどで、患者さん自身でも容易に区別がつきます。
 エナメル質が白くなるのは、歯垢などが歯の表面に沈着して、それが出す酸によって脱灰(だっかい)(歯の表面のエナメル質が酸によって溶けること)が起こっているからです。
 そのままの環境を放置すると穴があいて、修復しなければ治らないムシ歯へと進行していきます。

 しかし、ブラッシングなどで歯垢が取り除かれると唾液の緩衝作用で、酸性になっていた口の中の環境が中性に戻り、溶け出していたカルシウムイオンやリン酸イオンがエナメル質に取り込まれ、脱灰していた部分が再び結晶化し(再石灰化)、健全な歯に戻るのです。
 脱灰と再石灰化のバランスをコントロールする最大のポイントはセルフケアーと歯科医院での定期検診で、歯垢からの酸が出ることを抑えることと

同時に唾液と歯の表面が接する機会を確保し、唾液の再石灰化能力をいかに促進させるかにかかっています。
 そして、唾液の中にフッ素イオンがあれば再石灰化が促進されるため、フッ化物の応用はぜひとも必要です。

こどもの歯のコーナー 〜親子のコミュニケーションから〜
 特に小さい子どもさんは、歯医者に連れて行かれると何をされるか不安で、泣いたり、騒いだり、嫌がったりしがちです。一度嫌がって泣いてしまうと、ずっと引きずり何もせず帰

ることになった方も多いのでは?
 ムシ歯治療では、歯を削る機械、消毒のための強い薬などを常時診療台にのせているので、泣いて暴れる子どもに対して頭や体を押さえて治療することもあり、そばでみると拷問のように見えるので「痛くて怖いことをする」場所だと思われがちです。危ないからそういうことをされるのだということを良く言い聞かせて治療が良くできたらちゃ

んとほめてあげるというような(当たり前のことですが)親と子のコミュニケーションをとった上での来院をお勧めいたします。
 また、うそやおどしも禁物!「何もしないから」「悪い子は歯医者さんに痛いことしてもらうよ」とか、何気ない言葉にも気をつけてあげてくださいね。

Q&A 〜お答えします 患者さんからの質問〜

歯みがきは寝る前?

Q:歯を磨くのは、寝る前が効果的だと聞きましたがどうしてでしょうか。
A: ムシ歯予防では、以前から寝る前の歯みがきの大切さが話されてきましたが、それには唾液の分泌量が大きく影響しているのです。
 食べる前と食べた後では見た目には変化がなくても、歯の表面では大変な違いがあります。食べた後、糖分によりお口の中は酸性になります。すると歯の表面からはカルシウムイオンなどが溶け出してしまいます。そのままではムシ歯になってしまいます

が、そこで唾液が働き、もう一度歯の表面を修復するのです。唾液がお口を中性に戻しカルシウムイオンなどを再び取り込ませます。
 その唾液が夜はほとんど分泌されません。ですから、歯みがきをせずに眠ると修復されずにムシ歯になりやすいということです。寝る前には歯みがきをし、その後は食べないということは、お口の健康の第一歩ということですね。

衛生士だより 〜ベストチョイスで歯を大切に〜
 近頃は、多種多様な「歯」に関する商品があり、歯ブラシひとつ選ぶのに迷うほどたくさんあります。それほど「歯」に関心があり、大切にしようと思う気持ちが高まっているのでしょう。
 いろいろなものを試される前に、まずは歯科医院でいまのお口の中の状態をチェックしてもらいましょう。自分にあった歯磨き

方法や歯ブラシ、歯間ブラシなどを組み合わせてもらうのがベストです。それを参考に選んでみてはどうでしょうか?
 ムシ歯があったり、歯周病を放置している状態では本来の予防効果が得られるか疑問です。削らないで様子を見ているムシ歯を持っている方や、歯周病が進んで定期的なチェックが必要な方など

は、いろいろな予防効果や作用のある歯ブラシ、歯みがき剤、デンタルリンスetc使っても、みなさんの努力だけでは実際にお口の中の健康を維持するのは難しいのです。
 定期的な検診は、みなさんの大事な「歯」を守るために必要なことです。

ご存じですか 
〜オランダお国事情 年に2回は歯医者さんへ〜
 みなさんは、どんなときに歯医者さんに来られますか?
 「歯が痛くなったから、ムシ歯の治療に来た」いう方も多いでしょう。ムシ歯も早くから見付けていれば修復させることもできます。なるべく早くから医院に通いたいものですが、医療費もかかるためなかなか難しい現実があります。
 当たり前のように受けている歯科医療も、実は国によってぜんぜん違っているのです。日本では平均4本という12歳の子どものムシ歯の数が、平均わずか1.1本というオランダの歯科医療を見てみましょう。

 オランダではホームドクター制といって、年2回すべての国民が歯の定期検診を受けることになっています。17歳までは歯科医療は無料で受けられます。歯列矯正も25%負担で受けることができます。成人は一定の負担がかかりますが、日本に比べ国をあげて歯を事前に守る「予防」医療に手を打っているのが分かります。
 定期検診を含めこれらの医療には健康保険が使えます。治療・療養型の「長期保険」と一般の医療保険の「短期保険」があり、政府が事業主体のものと民間保険とが合わさっ

ていますが、介護においても高齢者を含めかなり行き届いたサービスが受けられます。なにより日本と違い、国の予算でも社会保障費は大きな割合を占めています。これらは20年も前から確立されています。
 併せて、オランダでは週33時間労働制がとられ、夏には5週間の夏期休暇があるなど福祉を重視し豊かな国民生活を保障しているのがよくわかりますね。